関西最大の指定暴力団・四代目桐ヶ谷組直系染井組の孫娘である染井吉乃の人生は、ある日突然大きく変わることになります。祖父の蓮二が突然決めた婚約により、関東の暴力団・深山一家の跡取り息子である深山霧島との結婚が決まってしまうのです。
最初は紳士的で優しい態度を見せる霧島でしたが、その裏には誰も想像できないような危険な本性が隠されていました。しかし、吉乃もまた極道の血を引く者として、予想外の行動で霧島を驚かせることになります。
物語の中心となる吉乃と霧島の関係は、従来のラブコメとは一線を画しています。派手な見た目とは裏腹に常識人である吉乃と、表面的な紳士的態度の裏に狂気を秘めた霧島。この正反対とも言える二人の関係性が、読者を惹きつけてやまないのです。
さらに、物語に深みを加えるのが鳥葦翔真の存在です。吉乃の幼なじみとして登場する翔真は、霧島とは異なる形で吉乃を想う重要なキャラクターとして描かれています。
本作の特徴的な要素として、極道世界の緻密な描写があります。キャラクターの名前には植物の名前が使われ、それぞれが持つ刺青のモチーフにも深い意味が込められています。東西の暴力団の確執や、組織内の人間関係など、細部まで作り込まれた設定が物語に深みを与えています。
バイオレンス要素が強い作品にも関わらず、本作は女性読者からも高い支持を得ています。その理由として、主人公・吉乃の芯の強さが挙げられます。危険な状況に直面しても、誰かに頼ることなく自分の意志で立ち向かっていく姿勢が、多くの読者の共感を呼んでいるのです。
霧島の過去や真の目的、吉乃との関係の行方など、物語には多くの謎が残されています。特に霧島が抱える破滅願望の理由や、婚約の真の目的など、読者の考察意欲をかき立てる要素が随所に散りばめられています。2024年10月からはアニメ化も決定し、さらなる展開が期待されています。